生活保護と医療費


Top > 生活保護と医療費

生活保護と医療費

生活保護医療扶助の仕組み

生活保護医療扶助の仕組み 生活保護費全体に占める各費目の内訳を見てみますと、「医療扶助費」50.4%・「生活扶助費」32.3%・「住宅扶助費」13.9%・「その他」12.2%となっています。更に、「医療扶助費」の内訳は、入院費59.3%(一般入院34.8%・精神科入院24.5%)・入院以外の費用40.7%となっています。
つまり、「医療扶助費」は生活保護費全体の半分を占める費目で、増え続ける生活保護費の今後の鍵を握る費目とも言えます。
生活保護の「医療扶助」はサービスの現物支給で、医療費は直接医療機関に支払われ本人の負担はありません。従って、国民健康保険の加入者は生活保護が決定すると、国民健康保険から脱退し生活保護の「医療扶助」を受けることになります。また、それまでの健康保険証に代わり福祉事務所から医療券を発行して貰うことになります。
生活保護受給者の「医療扶助」は原則として指定医療機関で診察を受けることになっていますが、急病や入院中の場合など止むを得ない場合は指定医療機関以外の医療機関で受診することもできます。いずれにしても、福祉事務所の担当ケースワーカーとの相談が必要です。
「医療扶助」の範囲は、診察・投薬・医学的処置・手術・入院・入院に伴う看護・自宅療養中の看護などが対象になります。


生活保護の「医療扶助」の問題点

生活保護の「医療扶助」の問題点 生活保護の「医療扶助」で、しばしば問題になるのが過剰診療の問題です。通常、医療機関と患者は、ある種の緊張関係でバランスが保たれています。
ある種の緊張関係とは医療機関は最適で最も経済合理性に合う医療を提供しなければならず、患者は最も医療費が安い医療機関や医学的処置を求めています。
従って、患者は気に入らない医師や医療機関での受診を断ることもできるのです。その結果、過剰な検査や投薬や医学的処置が回避される訳です。
しかし、生活保護の「医療扶助」に於いては、この様な医療機関と患者の緊張関係のバランスが最初から崩れています。生活保護の被保護者は福祉事務所から指定された医療機関で受診することが義務付けられますから、医師や医療機関を選択することができません。また、自己負担はゼロですから、多少の過剰な投薬や検査があっても黙認してしまう傾向があります。この差の積み重ねは非常に大きな金額となります。
従って、2013年の秋の臨時国会で提出が予想される「生活保護法の改正案」に於いては、被生活保護者の医療の一部自己負担が盛り込まれています。